売掛金などの債権回収に備えるための何を準備するのか?

売掛金は、未回収になってしまうと大きなリスクとなりかねません。

しかし、債権回収のためには何をすればいいのかわからない、という企業も多いでしょう。

実際に債権回収を始める前に、入念な準備をしなくてはいけません。

債権回収には、どのような準備が必要でしょうか?

主に必要なことについて、解説します。

目次

債権回収のために準備すること

売掛金の債権回収のための準備は、売掛金の支払いが遅れた時点から開始します。

最初に行うことは、支払いが遅れていることを確認する電話で、買主に遅れた理由、支払いができる予定を確認しましょう。

しかし、他にも行うことはあるのです。

まず、出荷予定の商品がまだある場合は、出荷を止めて売掛金が増えるのを防ぎましょう。

買主にも、売掛金が回収できたら出荷を再開する、とはっきり伝えておきます。

お互いに売掛金がある場合は、未払いの売掛金と相殺できる買掛金がないか確認しましょう。

売掛金は、できるだけ探すことが回収のコツです。

相殺できる債権があったとしても、勝手に相殺するのではなくきちんと通知する必要があるので、買主に相殺することを早急に伝えましょう。

もし、買主が破産してしまうと、相殺できなくなるので注意が必要です。

契約時に取り交わした書類を最初から確認しなおして、売買契約書の他に、見積書や納品書、請求書、売買基本契約書、発注書などの書類があるか、不足しているのは何かを把握しましょう。

書類の中に、売買代金の額を捺印した書類、期限の利益喪失条項の記載の有無、商品の所有権移転時期などの記載があるかを確認しましょう。

訴訟や売掛金回収などで、それぞれ役立つのです。

買主が協力してくれる場合の準備

買主は、何も売掛金を踏み倒そうとしている人ばかりではありません。

支払いが遅れていても、支払う意思はある買主も少なくないため、協力して準備できることもあります。

協力を得られる場合は、まず未払金残高確認書を作成しましょう。

買主が作成するもので、売掛金の残高が何円あるものの、必ず支払いますと記載します。

用意しておくと、強制的に債権回収をする際に有力な証拠となります。

支払いが遅れている場合は、決裁書の提出を要求しましょう。

決裁書を見ることで、買主の経済状況や保有している資産なども把握できるので、差し押さえなどの際にも役立ちます。

納品した商品がまだ買主のところにあれば、元々の契約を解除ということにして荷物を引き揚げてください。

商品を引き揚げることで、売掛金を減額することができます。

しかし、買主が引き揚げに応じないケースや買主以外では扱えないオーダーメイド品、買主が転売してしまった後などのケースでは、引き揚げできないかも知れません。

特に、いくら売掛金が未払いであっても、買主の同意なく商品を引き揚げるのは違法になるのです。

承諾を得られるよう説得して、きちんと書面に残しましょう。

どうしても承諾してもらえない場合は、裁判所で手続きをして認められれば、商品を回収できます。

買主が商品を転売していて、まだ代金が支払われていない場合は、転売先からの支払い予定の代金が振り込まれる口座を買主の口座ではなく、自社の口座に変更してもらうことで、確実に代金を得ることができるでしょう。

ただし、口座の変更には当然ながら買主の同意が必要です。

転売先への連絡も必要となるため、勝手に口座を変更させることはできません。

買主の同意を得られるよう、しっかりと説得しましょう。

支払代金の口座を変更してもらうとしても、破産してしまった場合はできない方法です。

また、口座の変更に同意した場合でも、後から他の債権者に代金債権を譲渡してしまう可能性があります。

他の債権者が代金を差し押さえにする危険性もあるため、債権譲渡担保を行うのがおすすめです。

債権譲渡担保は、買主が転売先から得る代金を担保として差し入れさせるという方法で、売掛金の回収に回すことができるのです。

債権譲渡担保を行うには、買主と債権譲渡担保設定契約書を作成して、転売先に債権譲渡担保を内容証明郵便で通知する必要があります。

買主が破産した場合や、他の債権者がいる場合でも、自社が売掛金の回収を優先して行うことができるようになるのです。

買主である企業に資産がない場合でも、社長に個人資産がある場合は売掛金の連帯保証人になってもらうという方法もあります。

連帯保証人になると、社長の財産からも支払いを求めることができるのです。

弁護士に相談

直接話し合っても債権回収が難しい場合は、法的手段を含めて対応を検討することになります。

法的手段を検討する場合は、弁護士に相談しましょう。

弁護士と相談する際は、回収における問題点を明確にして有効な回収手段を把握したうえで、債権回収のために行う手続きの種類と回収の方針について選択して、選択のメリットとデメリットを検討して、納得できるまで話し合っていくことになるでしょう。

方針の選択では、権利内容が明確か、回収手段に執行手続きを選択するかが重要です。

権利内容に争いの焦点がある場合は、訴訟を起こすために証拠を集め、取引の当事者の陳述、関係者の証言なども必要となります。

しかし、契約書などの書面がなければ勝訴できる可能性はかなり低くなってしまいます。

訴訟には双方へのリスクがあるので、慎重に判断する必要があるでしょう。

書面があれば、勝訴になる可能性はかなり上がります。

最大限の効果を発揮して債権を回収するには、事前の準備が重要となります。

回収の方針や手段は、事前に十分検討したうえで決定しましょう。

弁護士に相談する際は、情報を詳細にすり合わせておいてください。

まとめ

売掛金などの債権を回収できなければ、中小企業やベンチャー企業にとってはかなりの大ダメージとなるでしょう。

確実に債権を回収するには、事前の様々な準備が必要で、特に買主の同意を得ることができるかどうかでできる方法はかなり異なります。

法的手段も検討するのであれば、まず弁護士に相談して情報を共有し、方針や回収のための手段などをしっかり話し合いましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次