自然災害に中小企業はどう向き合えば良いのか?

自然災害は、いつ起こるかわかりません。

自然災害が起こった場合、人命が脅かされるのはもちろんですが、企業にも大きな影響が及びます。

特に、中小企業は大企業より経営資源が少ないため、不測の事態には弱いのです。

中小企業は自然災害にどう向き合うべきか、解説します。

目次

自然災害が企業に与える影響

自然災害は、様々なものが起こり得ます。

最も起こりやすいのが火災、次いで台風や洪水、集中豪雨などの風水害、地震などが想定されます。

火災の発生しやすさは、企業の業種によって変わってきます。

飲食店など、厨房など火を使う場所がある企業は、火災のリスクが高いでしょう。

一方、給湯室くらいしかない企業は、火災が起こる可能性は低いでしょう。

しかし、社内設備などに関係なく放火によって火災が起こる可能性はあります。

火災が起こると、建物が全焼するだけではなく周囲の建物に延焼する可能性もあり、被害が大きくなってしまうと非常に危険です。

企業の内部要因で起こった火災が周囲に延焼してしまうと、責任を問われることになるのです。

火災が起こった時の対処マニュアルを制定しておき、実際に起こった時は速やかに消防署へと通報しましょう。

風水害は、近年増加傾向にある自然災害です。

特に、線状降水帯は土砂災害を起こすリスクが高いものとして、警戒されています。

また、浸水などのリスクもあります。

企業では、浸水や土砂災害によって工場の操業が止まったり、連絡や交通が断絶されて孤立してしまったりすることがあります。

立地に合わせて、事前の備えが必要となるでしょう。

被害を受ける可能性があるエリアは限定されるため、ハザードマップなどを見てエリアに含まれているかを確認しておきましょう。

また、風水害の規模に応じた被害をシミュレーションしておき、避難経路や避難場所も把握しておいてください。

日本は、地震大国と呼ばれるほど地震が多い国です。

大きな地震は、東日本大震災が記憶に新しいでしょう。

阪神淡路大震災など、都市部で起こったため大きな被害が生じた地震もあります。

大きな地震が起こると、建物が倒壊するリスクがあり、従業員も負傷する可能性が高いでしょう。

電子機器や家具が転倒、落下して損傷することもあります。

また、道路が損傷してサプライチェーンが分断されることもあります。

水道管など、ライフラインに関係するものが損傷して、断絶されるリスクもあります。

休業することになれば、顧客離れも起こり経営不振に陥るかもしれません。

過去に自然災害による影響を受けた中小企業は、7割以上が100万円以上の物的損失を被っています。

7割の内3割は、1000万円以上の損害を受けました。

また、企業の約半数は営業を停止することはなかったものの、3割ほどは4日以上営業を停止することとなりました。

被害額が大きいほど、長期間休む傾向があります。

自然災害にどう向き合うべきか

自然災害は、人間の力で止めることはできません。

しかし、向き合い方をあらかじめ備えておくことで、自然災害の影響を最小限に抑えることはできます。

まず、BCP( Business Continuity Plan )を策定しておきましょう。

BCPは事業継続計画のことで、災害時などの非常事態が起こった時に事業を継続、もしくはなるべく早く復興させるための方法について、あらかじめ計画して備えておくことです。

非常事態に備えた計画には、事業継続力強化計画もあります。

事業継続力強化計画は国の認定制度があるもので、経済産業大臣の認定を受けた場合に税制優遇や補助金などを受けることができます。

しかし、BCPは企業などが独自に策定して実施するものであり、国から認定されることはありません。

企業によって内容や作成方法なども異なり、策定しても国からの支援はありません。

しかし、範囲としてはBCPの方が広く、事業継続力強化計画はBCPの一部で、基本的な重要項目に限った内容だけとなっています。

BCPの簡易版や、入門編とも呼ばれることがあります。

BCPは、中小企業では複雑なイメージがあるためあまり普及は進んでいません。

前段階として公的優遇が受けられる事業継続力強化計画を策定してから、支援を受けつつ企業のリスク管理体制を強化していくべきでしょう。

自然災害への備えとして、想定される被害を確認するためにハザードマップを活用しましょう。

自治体のホームページや、国土交通省のハザードマップポータルサイトで確認できます。

自社がある地域が、洪水や津波、土砂災害、高潮などの災害想定区域に入っているかを確認し、合わせて避難経路や避難場所もチェックしておきましょう。

チェックした情報は、従業員全員に共有することも大切です。

また、各自で自宅までの帰宅経路や周辺のハザードマップも確認しておきましょう。

家族の安否確認やリモートワークなどにも備えて、避難場所や経路も確認してもらうようにしてください。

自社の地域の周辺についても、チェックしてください。

インフラが途絶える可能性や、何か利用できなくなるものがないかを事前に確認しておけば、備えについても必要なことを把握できます。

災害時に従業員の安否を確認するために、安否確認システムを導入してください。

災害の発生時は大きな混乱が起こり、外回りで離れている社員もいるでしょう。

企業規模が大きいと、全員に直接連絡をして確認するのは困難です。

スムーズに安否確認をするために、安否確認システムを導入するのがおすすめです。

一定以上の災害が起こった時、自動的にすべての従業員にメールや連絡が届くようになっているので、スムーズに安否確認ができるでしょう。

万が一に備えて、備蓄品も用意しておきましょう。

食料や飲料水、衛生用品、懐中電灯、乾電池などです。

長く置いておくと消費期限が切れてしまうこともあるため、定期的に交換してください。

家具やIT機器の中には、重い物もあります。

地震が起きた時に家具やIT機器が倒れないように、転倒防止の対策をしておく必要があるでしょう。

まとめ

自然災害は、多くの人の生活に影響を及ぼします。

影響は個人だけに留まらず、大きな災害であれば企業にも多くの影響を与えることになります。

中小企業は、万が一の時の被害を抑えるためにBCPを策定しておきましょう。

また、普段から災害が起こった時の避難場所や経路を把握しておき、いざという時スムーズに動けるようにしてください。

被害をゼロにすることはできませんが、最小限に抑えることはできるでしょう。

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