労務リスク回避にはコンプライアンスの遵守が不可欠

企業の経営では、労働問題が発生する労務リスクは、時に企業の存続が危ぶまれる原因にもなりかねません。

労務リスクを回避するには、コンプライアンスを遵守しなくてはなりません。

コンプライアンスを順守していると、どのようにリスクを回避できるのでしょうか?

リスク回避とコンプライアンスの関係について、解説します。

目次

労務リスクとは?

企業が従業員を雇用し、労働に従事させている場合は、労務リスクについて考える必要があります。

労務リスクというのは、労働に関わる問題全般に関わるものです。

例としては、残業代の未払いや不当解雇、様々なハラスメントなどがあります。

問題が起こり、長期化してしまうとどんどん悪化していき、損害賠償を請求されて企業の経営が立ち行かなくなる可能性もあります。

労務リスクは、コンプライアンス違反によって生じるものです、

労務リスクを回避するためには、まずコンプライアンスを遵守することを考えなくてはならないのです。

しかし、経営陣がいくら遵守するよう指導しても、従業員の人数が多くなるほど違反を完全に防ぐのが難しくなっていきます。

労務リスクは、ゼロにはできないのです。

すべての企業は労務リスクに備える必要があるため、労務リスクマネジメントを重要な課題と認識している企業が増えているのです。

特に注意したいのが、長時間労働によるサービス残業です。

日本の企業は、欧米の企業と比較して労働時間が長いといわれています。

休みなく働くのが美徳とされていた高度経済成長期ほどではないにしても、やはり残業させることが多い企業はあり、さらに残業代を支払わないサービス残業をさせていることも珍しくないのです。

日本の残業代の未払い額は、年間で合計100億円にもおよぶといわれています。

36協定や労働基準法でサービス残業は制限されていて、残業があった場合は必ず残業代を支払わなくてはならないと定められているため、サービス残業を強要していると後からまとめて請求されてしまうかもしれないのです。

まとめて残業代を請求されてしまうと、企業の経営にも大きく影響することとなります。

請求された額を無事に払えたとしても、ニュースになってサービス残業を強要していた企業として社会的な信用が低下してしまう恐れもあるでしょう。

労働契約法や労働基準法では、労働契約について定められていて、問題が生じた場合でも従業員の解雇は簡単にはできないという点に注意が必要です。

裁判になって勝訴したとしても、費用や時間を費やすこととなるため企業にメリットはないのです。

特に注意が必要なのが、社会問題にもなっている各種のハラスメントです。

セクハラやパワハラによって従業員がメンタルヘルスを損なうことも多く、被害者の主観的な苦痛を重視して判断されるため、対策しづらい問題でもあります。

ハラスメントについては、世間の目も年々厳しくなっています。

軽々しく扱っていると、企業として重大な損失につながることもあるため、相談窓口を設置したりハラスメントを防ぐ制度を作成したり、あるいは従業員に周知したりと、多くの取り組みを通じてリスクヘッジを図る必要があるのです。

従業員を解雇した場合、従業員の人生には大きな影響があります。

訴訟につながることもあるため、適切な判断で解雇を決めたのか、解雇予告に問題ないかなど、リスクがなるべく少なくなる方法を選択する必要があるでしょう。

労務リスクを回避するために

労務リスクを回避するためには、コンプライアンスの遵守が不可欠です。

しかし、どうすれば授業員にも徹底できるのでしょうか?

労務リスクを回避するための対策について、解説します。

まず、就業規則に労働条件や労働者に対する規則などを明記します。

作成して周知しておけば、労務リスクはある程度回避できるのです。

たとえ従業員が詳しく知ろうとしなくても、内容が不合理でなければ有効となります。

就業規則としてルールをまとめておくことは、企業を守ることにつながるのです。

労務上のトラブルに対処する際も、就業規則にのっとって判断することで問題を回避できるケースが多いでしょう。

弁護士などの専門家の相談窓口を用意しておくと、労務問題に対処するための初動がスムーズになります。

また、従業員に対しての相談窓口も用意しておくことで、大きな問題となる前に悩みを解消できるケースもあるでしょう。

労務リスクの種類は様々で、対策方法もそれぞれ異なります。

最初に着手するべき点がわからないことも多いのですが、まずは以下の点を気に掛けることで労務リスク管理を効率的に行えるようになります。

適切なリスクマネジメントを行うために、人事や総務などの研修を受けて資格を取得しましょう。

産業カウンセラーや衛生管理者、ビジネスキャリア検定などが、特に役立ちます。

労務リスクが生じた場合でも、安心して相談できる場所があれば大きな問題になるのを防ぐことができるのです。

従業員が危険を感じた場合は、社内で共有すれば労災になる前に対策できるでしょう。

残業代の未払いに関しては、そもそもサービス残業をさせないようにすれば問題そのものが生じません。

問題となるのは、社内のコミュニケーションの取り方がわからないという悩みです。

対策としては、上司が部下一人一人を気にかけて、異変がないかを見つつ積極的にコミュニケーションをとるよう心がけるべきでしょう。

信頼関係を築いて、相談などが気軽にできる関係になる必要があります。

労務担当者にとっては、かなり大きな負担となるかもしれません。

なかなか手が変わらないこともおいので、効率的に進めていくために労務管理システムの導入を検討しましょう。

労務管理システムというのは、勤怠管理や人事情報の管理などの労務管理を支援するためのITツールです。

雑事を効率化することで、労務リスクを回避するための取り組みもできるようになるでしょう。

まとめ

事業経営において、労務リスクが起こることは珍しくありません。

労務リスクには様々な種類があり、中には会社の存続にも影響するような問題もあるのです。

労務リスクが生じる原因の多くが、コンプライアンスを遵守していなかったことで起こるため、労務リスクを回避したいのであればまずはコンプライアンスを遵守することも重要でしょう。

コンプライアンスの内容をもう一度チェックして、遵守するよう働きかけましょう。

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